帰ってきた!レオナルド・ダ・ヴィンチの『東方の三博士の礼拝』@ウフィツィ美術館

5年半の修復を終え、レオナルド・ダ・ヴィンチの『東方の三博士礼拝』がウフィツィ美術館に戻ってきた。
ウフィッツィ美術館は、ルネッサンス絵画を中心として、年代順に絵画が展示されている。大まかに順をたどると、入口の廊下には、ジョット以前、ジョット、マサッチョ、ボッティチェッリ、ピエロ・デッラ・フランチェスカと並び、反対側の廊下にミケランジェロ、その奥にカフェテリア、階段を降りてトイレ、そしてマニエリズム、ラファエッロ、カラヴァッジョと続く。
本来ならばレオナルドはボッティチェッリの後にくるはずであるが、ない。どこに!?と一瞬焦るが、ご心配なく。ラファエッロの後に展示されている。
ただし、この展示場所は9月24日まで。
『レオナルドの魅惑の世界』という特別展として、仮の展示場所である。以後は従来の年代順の展示位置に(ウフィツィ美術館2階)『レオナルドの間』が設けられるそうだ。うん、良いことだ。この仮の展示場所、全く冴えないからな。
ウフィッツィ美術館は階段を登る必要があるので、入口に到着した時点ですでにちと疲れる。意外と広いこともあり体力的に、そして名作続きで精神的にも疲れてしまう。途中のカフェでちょっと一息いれるのがいいかもしれない。ちょっと高いけど
このブログと同じように美術館でも、まだ?まだ?と焦らしに焦らして、ようやくレオナルドに到着するのだ。

まずは『キリストの洗礼』と『受胎告知』。この日は皆、『東方の三博士の礼拝』に人気を取られてか、たまたまこの絵に団体がいなかったからか、『受胎告知』に人がまばら・・・。
そして、遂に!ご対面!!!
東方の三博士の礼拝
美しい、この一言である。想像以上に奥行き感のある琥珀色の絵は、コニャックのように深みがあり、味がある。
未完成の絵であるが、もとからカラーの絵ではなく、モノトーンの絵の予定だったのではないかとも言われるが(真相はわからぬ)、頷ける。むしろ、その方が美しいのでは?
修復前
修復前は、かなり見づらい。それでも素晴らしい構図や含まれた意味の深さや、さすがレオナルドと言わずにはいられない。しかし修復後に現れた薄い青色の空や色の濃淡、奥行きはこの状態では感じられなかった。
一部
手で天を指差している天使を見ている男性の前髪がちょんと上がっている。
フィリッピーノリッピ
『東方の三博士の礼拝』は、1481年にサン・ドナート・ア・スコペート修道院からレオナルド・ダ・ヴィンチに依頼されたが、翌年、レオナルドがミラノへ行ったために未完成で終わった作品である。その15年後に、フィリッピーノ・リッピが同教会に同テーマの絵を描いた。今回の展示は、フィリッピーノ・リッピの絵が近くに置かれているので比較ができることが面白い。
前髪がちょんと上がった人物はフィリッピーノの絵でも見られる。
レオナルド
三博士の一人、カスパール?サングラスかけてね?
聖母
いろんな画家が描く聖母の中でも、私はレオナルドの聖母が好きである。多くの画家が美しい聖母を描いた。しかし、レオナルドの聖母には、美しいと同時に大きな母性を感じる。幼子も聡明であると同時に愛くるしい。頬から顎にかけて幼児独特のぽちゃっとした肉がたまらーん!ムギュッとしたくなる。
聖母マリアを中心に周りの人物が三角形を成し、すべての絵の中心が聖母マリアの頭上にくるという、神学的観点からも、安定した構図である。
背景
2本の木は、手前にキリストの勝利を表す月桂樹、奥に殉教を表す棕櫚。その後ろに、混乱している(=異教)馬の戦い。この何頭もの馬の土煙立つ戦いの様子は、アンギアーリの戦いに通じていく。
デッサン
線遠近法の消失点。別の紙に下絵を準備して写したのではなく、直に馬を描いていったというのだから凄い。何度も素描の修練はしているだろうが。
この絵を(未完ではあるが)描いたレオナルドの報酬は、28ドゥカート金貨、2匹のロバが運ぶことができる薪と丸太、1樽のヴェルミリオのワインであったそうだ。
『東方の三博士の礼拝』がウフィッツィ美術館へ戻ってきたことを祝って、ヴェルミリオワインでも飲むとしよう
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