老舗トラットリア「ダ・ブルデ」

6月のオルチャ渓谷 クレテ・セネージへ。

フィレンツェには、老舗と呼ばれる食堂が多く存在する。その中でも、屋号を残し経営者が替わったところや、同じ経営者でも厨房にいるのは外国人ばかり、というところも少なくない。外国人とはいかなくとも、トスカーナ料理を売りにしているのに、ん?話すのを聞いているとトスカーナ人じゃないでしょ?という場合もある。それはそれで美味しさを維持している限り、問題ない。現に、「日本人が厨房で腕を振るっているレストランは美味しい」とは、すでに都市伝説ではなかろうか?(って、そう思うのは私だけ?)
しかし、昔から変らず家族で営んでいる老舗なるものは、底知れぬ魅力がある。
そんなトラットリアのひとつ「Da Burde/ダ ブルデ」へ行って来た。

トラットリアのダ・ブルデ

1901年創業のこのトラットリアは、平日の昼食は地元の人々でほぼ満席であった。
まずは、プリモから。旦那は、Farinata gialla con cavolo nero・黒キャベツのスープ。ファリナータというとヒヨコ豆のパンケーキみたいなものを想像されるかもしれないが、こちらはスープなのだ。仕上げにトウモロコシの粉(farina gialla)を加えるから、このような名前がついている。(たぶん・・)

スープ

黒キャベツ好きの私には、たまらん美味しさ!でございました。(ちょっと味見した)
私は、リッボリータを。野菜と豆と古くなったパンのスープであるリッボリータは自分でも作るが、「本物の味」ってどんなのだろう?といつも思っていた。ま、余った野菜であれば何でも入れたのだろうから、絶対的なレシピなど存在しないのかもしれないが、それでも「あ、これ!」という味に出会ってみたかった。

リッボーリータ

これぞ、ザ・リッボリータでございますよ。ジャガイモも入っているからかフォークでも食べれる感じで、きっちり煮ているのにパンがすべてごちゃ混ぜにになっていず・・・。黒キャベツもいますよ!と主張してくれて。食べ応えがあった。この季節の贅沢品Olio Novo(新物のオリーブオイル)をたらりとかけると、フィレンツェに居てよかった!と思うのだ。

ワイン

ハウスワインもあるが、グラス・ワインとして本日のワイン3種類から選んでも良い。今日は、キャンティ・コッリ・フィオレンティーノ(Lanchiola)、ボルゲリ(Tenuta San GuidoのLe Difese)、と・・・地区は忘れたがカヴェルネということなので、まずはキャンティを選ぶ。軽めの赤が、リッボリータに合う。
私は、このトラットリアにどうしても来たかった。なぜなら、ここのソムリエ(オーナーの息子)アンドレア・ゴリ氏のファンだからである。ゴリ氏は、トスカーナのソムリエ最優秀賞受賞や、ヨーロッパ選手権準優勝、今年はイタリアにおけるシャンパン大使を勤めるなど、さまざまな経歴があるのだが、何よりも彼はソムリエ・インフォルマティコ(情報提供するソムリエとでもいうのだろうか)であるからして、ワインに関する興味深いサイトを開設している。(トスカーナには、「詩人の肉屋」とか肩書きを一言で言い表わせない方々がいらっしゃるのです!)本日のワインも、なかなかである。ダ・ブルデのHPにワインリストがあるので、それを見ているだけでも面白い。
セコンドに、旦那はトリッパを。

トリッパ

塩加減も丁度だし、柔らかいし、トリッパってこんなにイケるものだっけ?という一品。


私は、ボッリートを。

ドルチェ
ボッリート

一見、チャーシュー麺のように見えるが、ボッリートとは茹で肉なのだ。サルサ・ヴェルデとマヨネーズ(は、いらんのとちゃう?と思ったが、合わせると美味しかった)をつけて。やわらか~い牛タンもあり、むふふ♪

ボッリータ肉

トスカーナ料理は塩味が強い印象があるが、野菜とお肉の旨みがでてとても味のよいスープ。モツも入っているので軽く癖はある。うーん、温まる。ここで、ワインもう一杯♪ボルゲリを頼む。
サルサとともに、酢漬けの赤玉葱と緑のぺペロンチーノが食欲をそそるのだ。

最後に、デザートを選びに行く。

ドルチェ

りんごのタルトも惹かれたが、Zibibboのケーキ。Zibibboとは、マスカット。

ケーキ

旦那には「おやつに食べるローズマリーパン(Pan di ramerino)やね。」とあっさり言われたが、パンではない柔らかい生地、葡萄もサルタナより香りがよく大粒で、ほんのりローズマリーの香りも相まって、バターやカスタードクリームのこってりしたデザートより、今日の気分としては非常によろしい。
何もかも胃腸に優しく、お腹も心も満足できた。
お昼だからか、メニューはお店の方が口頭で述べるのみ。あまりの速さにびびったが、すでにダ・ブルデのHPに掲載されているメニュー(値段付き)で予習していたので、忙しい中もたもた待たせず助かった。イタリアで値段が書かれていない品を注文することは厳禁である。それは、とにかくぼったくられるから。天下のダ・ブルデでそんなことはなかろう、イタリア人と一緒だしと思いつつ、ちょっぴりどきどきしていた私。なんのことはない、満足のいくお値段でした。
ちなみに、ここはスローフード協会による格付け「Osteria d’Italia 2012」 に指定されている。(フィレンツェ市内では、ここだけ)
歴史地区からは少し遠方ではあるが、「本物のフィレンツェの味」を知りたい方は是非。


Trattoria Da Burde
Via Pistoiese 6/R – 50145 Firenze
Tel. 055/31720

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