9月のオルチャ渓谷へ。
9月にはいり、急に涼しくなったイタリア。
秋きぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる
夏の終わりにはいつも実感しながらこの歌が思い出されるのだが、
今年は、ふと吹く風にどこかしら秋の気配というよりは、「今日から秋です!」と
いやおうなく主張されてしまったようでとまどいを感じてしまう。
オルチャ渓谷らしいいつものシーンもなにかしら寂しくもある。
夏の間、40度近い灼熱の太陽にさらされた大地は今ようやくほてりを冷ます。
そして、パラパラと降り出した雨。
普段はうっとうしい通り雨だが、乾いた大地を見ているとこのときばかりはその有難さを私たちも感じる。
遠く丘の上に見えるのは、ピエンツァの町。
さえぎるもののない渓谷の風は、影を落とす町の小路では体をさすりたくなるほど寒い。
「まだ9月だというのに・・・」と町の人は文句を言う。
しかし、お店を見たり、景色を眺めたりと小さい町中をあちこち散策しているうちに
いつの間にか汗ばんでくる。それでもやはり、まだ9月である。
ピエンツァは羊の乳で作られたペコリーノ・チーズが名産品だが、そのわりには羊が放牧する姿をそれほど見ることはなかった。しかし、涼しくなったからか羊たちも羊舎からでてきた。
モノトーンとなった初秋のオルチャ渓谷の自然の中で、いつまでも物思いに耽っていたい。
(はちみつをかけたペコリーノ・チーズに赤ワイン、ロッソ・ディ・モンタルチーノかモンテプルチャーノなどと共に・・・。)
そうすれば、芸術のひとつ、とまではいかないが、生きていくための何かいい案が生まれてくるかもしれない。
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