コルトーナ訪問

5月と6月に訪れたコルトーナは、相変わらず中世の匂いがした。初夏は町のお祭りの季節で地区の旗が風に舞い、賑やかである。

丘に張り付いて発展したコルトーナの町は、縦横に路地が走る。

横に伸びる路地は良いが、縦に伸びる路地はご覧の通り、坂となっている。住民には辛いが、観光客には魅力的だ。

映画「トスカーナの休日」の舞台となったコルトーナ。めちゃくちゃアメリカンな映画であったが、トスカーナの良いところを集めているのは、さすがアメリカ映画だと思った。20年前の映画とは思えない、今も映画で見る同じ風景が広がる。映画をご覧になった方は、このテラスがピンとくるかも?

高台の町は眺めが素晴らしい。夏に向けて、小麦が黄金色となっている。

コルトーナのドゥオモは意外と豪華だ。この日は女性がオルガンでパッヘルベルのカノンを練習していらして、朝から心が洗われた。教会で聴く音楽は至高である。

バロックの画家ピエトロ・ダ・コルトーナは、その名が示すようにコルトーナ出身である。彼特有の丸顔の聖母の優しい眼差しが美しい。

コルトーナ出身の画家といえば、もう一人。ルネサンス時代を生きたルカ・シニョレッリだ。シニョレッリらしい力強い作品は、司教館美術館所蔵だ。

教会を改築した美術館は、なかなかに見所が多い。主にコルトーナの教会にあった作品を集めているのだが、コルトーナにてシエナ派の画家たちも多く活躍していたことがわかる。コルトーナとシエナは比較的近いし、アッシジやペルージャでもシエナ派の画家の作品が多く残る事から、コルトーナにも立ち寄ったのが納得できる。

この作品のためだけにコルトーナを訪れる人々が後を絶たない、ベアート・アンジェリコの「受胎告知」。聖人のお顔のなんと麗しいことか。
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