ワイナリー「カパルサ」で人生を考える

キャンティクラシコワイナリー「カパルサ」。

キャンティクラシコワイナリー「カパルサ」(写真拝借)

パオロ・チャンフェローニ氏が経営する「カパルサ」というワイナリーを訪問した。祖父から受け継いだ畑を守り、ラッダ・イン・キャンティという土地で年間約25,000本のボトルを生産している。

ワイン(写真拝借)

ワイナリーに到着すると、オーナーであるパオロさんが迎えてくれた。キアンティクラシコという土地、彼の所有する畑、そこで造るキアンティクラシコ・リゼルヴァ「Caparsino」と「Doccio a Matteo」の2種類のワインについて情熱と誇りに満ちた説明を聞き、試飲をする。
いいワインとは何か?パオロさん曰く「飲んでいて美味しいと感じることは当然だが、翌日も心に残るワインが本当にいいワインだと思う」
カパルサのワインはまさにその通りのワインである。静かな森に囲まれた高台の中で、畑のことを語る口調はまるで芸術家のようであったパオロさん。パオロさんの畑が奏でるキアンティクラシコは、静かな中に、力強いが心地よいタンニンがある。
畑仕事を難しくするガレストロ(岩石)を多く含むカパルサの土壌は、どうしても乾いたタンニンの強さを感じさせる。土壌に加え標高の高さも、確かな酸味を引き出す。カパルサで使用する品種はサンジョヴェーゼ、混ぜたとしてもカナイオーロやコロリーノの土着品種である。
メルローなどの国際品種などを混ぜるともう少し柔らかく造ることもできるかもしれないが、そんなことはしない。もちろん、栽培法、樽など、さまざまな面で改良は行っている。しかし、自分がこうだと信じて造ったものしかできないと語ってくれた。当たり前のようだが、その通りである。
私がツアーの仕事を始めて8年が経つ。いつの間にか同業者が増えた。使用する車も2台目となり、資格も増やし、自分なりに日々精進しながら前に進んでいるつもりではあるが(とはいえ、それほどストイックではない、ぐうたらな私である。)、心が折れるときもある。これで本当に正しいのか?他人を使って手広くやったほうがいいのか?私の器量では、もう駄目なんじゃないか?
こう思って不安になったとき、地味でいながら底力のあるパオロさんのワインと、ちょっとそっぽを向いて言った「僕のワインが好きならばそれは嬉しいことだけど、嫌いなら、それは仕方無いよね。僕はこれしか出来ないから」というパオロさんの言葉が思い出される。
人生、そういうことなのだな、と心から思うのである。そして、ご案内したお客様にカパルサのワインを翌日も思い出していただけたとしたら、こんな嬉しいことはない。

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