パリオ始まる@シエナ

8月、シエナのパリオ

シエナドゥオモ遠景

6月29日、シエナを訪れた。煉瓦色の町に白鳥が舞い降りたようなシエナの町は、長い年月、変わらぬ姿で訪れる人々を魅了してやまない。今の時代、家にいながら世界中の景色を画面の中に見ることができ、まるで行った気分になるほどに情報が溢れているので、このシエナの美しき姿も写真やテレビで知られたものとなっている。時々、絵や人の噂以外の情報がなかった時代に目の前にこの情景が現れたときの感動を味わって見たいと思うことがある。

シエナ市庁舎

シエナが1年で最も賑わうのが、カンポ広場で開催される地区対抗競馬試合パリオの日。パリオは年に2回、7月2日と8月16日に開催される。試合はこれらの日だけであるが、行事はその4日前から始まる。コントラーダと呼ばれる17の地区のうち、毎回、10地区が参加となる。パリオを前に市庁舎の窓から誇らしげに参加地区の旗がはためく。

シエナカンポ広場

パリオの初日、パリオで走る馬が決まり、騎手が決まる。今までに見たことのない数の群衆が広場に集まっていた。士気の上がった歓声が響くカンポ広場は、この時ばかりは貝殻の形をした真の姿を活気の下に隠している。

キージ音楽院

市庁舎のみならず、シエナの主要な建物には地区の旗が飾られている。町中がパリオに向けて特別の衣装をまとったようである。

森のコントラーダ

コントラーダは、それぞれのシンボルマークやシンボルカラーを持っている。私のお気に入りは「セルヴァ・森」地区である。街灯までが、地区のカラーに染まる。

展望台からドゥオモ

マンジャの塔に登ろうと思っていたが今日の午前は閉館で、代わりにドゥオモ付属美術館の展望台へ。

展望台から広場

少し遠いが、カンポ広場を上から眺める。パリオの日、誇り高く聳える鐘楼からシエナの鐘の音が、かつての栄光の響きを添えてトスカーナに鳴り渡る。

展望台から町

シエナは町も美しいが、その向こうに見える丘陵地も素晴らしい。城壁の内と外が美しさの中に見事な調和を成している。シエナの市庁舎に描かれたフラスコ画「善政の寓意」を見ているようだ。

マンジャの塔に登るのは自信がなくとも、最後の数段の螺旋階段は目が回りそうだがこちらの展望台は比較的登りやすい。

シエナの町

7月2日のパリオは、麒麟地区が優勝した。優勝馬の名前が「Tale e Quale」、日本語で「似たもん」とでも訳すだろうか。面白い名前である。

次の試合は8月16日なので、8月12日からパリオの行事が本格的に始まる。普段のカンポ広場が見れない、マンジャの塔やドゥオモに入れないなどの支障はあるが、1年で最も活気溢れるシエナを知る機会でもある。

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