ピサのカンポサント訪問

ピサのカンポサント

ピサのカンポサント

ピサの奇跡の広場には、洗礼堂、大聖堂、鐘楼、カンポサントの4つのモニュメントがある。どのモニュメントも見応えがあるが、この日のツアーは大聖堂とカンポサントを訪れたいとのリクエストを頂いた。

カンポサントの古代ローマ時代の石棺

カンポサントとは直訳すると聖なる野だが、墓地を意味する。墓地のイタリア語には眠るというギリシア語源のチミテロという言葉があるが、カンポサントと呼ばれる墓地は、キリストが磔刑に処されたゴルゴダの丘から土を運んできたことと、宗教的文化的に優れた建築物で芸術の宝庫となる墓地を指す。要するに、記念建造物的な墓地である。

その代表的な例がピサのカンポサントだ。

カンポサントの墓

カンポサントには古代ローマ時代の石棺とピサの著名人の墓があり、ピサのパンテオンと言える。

カンポサントの窓

ゴシック様式の窓が素敵だ。ステンドグラスが入るはずだったのが、骨組みだけの未完成の状態である。ガラスがない分、細かい装飾模様が引き立ってむしろ良い。

カンポサント廊下

空洞になった窓のおかげか、廊下に光りと影で繊細なレース編みが織り成され、それはそれは美しい。

旧約聖書の物語

ピサのカンポサントは、広大な壁面に描かれた14・15世紀フレスコ画も見どころである。残念ながら写真の通り、かなり破損している。

これは第二次世界大戦で間違って爆弾が落ち、鉛の屋根が燃え落ちたことでフレスコ画が被害を受けたためである。以前はどれほど素晴らしかったかと想像すると、残念でならない。

すぐにフレスコ画を壁から剥がし修復を試みたが、戦時中では手段も費用も限られていた。しかし70年を超える年月を経て、2018年にようやく修復が完成し、フレスコ画が元の場所に戻ったのだ。

3人の騎士と3人の死体

カンポサントのフレスコ画で最も素晴らしいのは、「死の勝利」を含む3枚の絵だ。これらは不思議なことにまた有難いことに、他に比べると破損が少ない。

絵のテーマは、どれほど裕福でも、どれほど高い位にいる者も、「死は必ず訪れる」という教訓を見事に表した大作である。中世の貴族の衣装や動物、老婆の姿をした「死」の手下のネズミのような顔をした悪魔など、細部が面白くて興味深く見入ってしまう。

地獄絵

人は死ぬとどうなるのか?

次の絵は、死後の行先となる天国と地獄絵図だ。地獄の真ん中には、3つの顔を持った地獄の悪魔大王がいる。地獄の谷でそれぞれの罪に問われた悪人が苦しんでいる様は、今こそ色褪せてはいるが迫力がすごい。この視覚の恐怖は、信者をさぞ震い上らせただろう。

隠遁生活

フレスコ画は恐怖だけを伝えているのではない。地獄に行かないように、死の恐怖に打ち勝つにはどうすれば良いのか?という救いの助言も忘れてはいない。

ピサの奇跡の広場のモニュメントの中ではカンポサントはそれほど注目されていないと思うが、実は非常に素晴らしいので是非、訪問して頂きたい。

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