聖フランチェスコが愛したお菓子

聖フランチェスコのお菓子モスタッチョーリ作ってみた。

アッシジ
アッシジのフランチェスコはイタリアで最も愛されている聖人の一人であろう。
フランチェスコ会が当時、広く支持された理由のひとつは、在世フランシスコ会の存在ではなかろうか。
フランチェスコが創立した会には、男子修道者の会である第一会、女子修道者の会の第二会があり、これらの会はイエスに倣ってすべてを捨てて、まさに「従順」「清貧」「貞潔」を信条に神のもとに集団生活を営む人々の会である。第一、第二の会に入るということは、なかなかの勇気を要し固い決心が必要となる。
これらの会に加えて、「キリスト教は素晴らしいけど、もう結婚してるし、わずかでも財産あるし、今の生活投げ出してまで会に入るなんて無理やねん!」という人のために、在世を捨てずともキリストの道を歩くことができる在世フランシスコ会と呼ばれる第三会が存在する。
商魂たくましい、でもあんまりなことするとダンテに地獄に落とされるよぅと慄くフレンツェ人には、速攻で受けたようだ。
第一会はフランチェスコの小さな兄弟たちと呼ばれるレオーネやジネプロたち、第二会は「兄弟フランチェスコが植えた草花」と言われた聖女キアラが代表的な人物だが、第三会にはヤコパ・デ・セッテソーリ(ヤコパ婦人)という女性がいた。
聖フランチェスコ
1226年10月3日の夕刻、フランチェスコの臨終に立ち会ったのは兄弟たちだけではなかった。そこに一人の女性が混じっていた。それが、ヤコパ婦人。彼女はローマの貴族グラツィアーノ・フランジパーニに嫁いだが、未亡人となった。フランチェスコとヤコパ婦人が知り合ったのは1209年、フランチェスコが12人の兄弟とともに、法王インノチェンツィオ3世に会則の認可を請うためローマへ赴いたときに、ヤコパ婦人が宿を提供したのがはじまりである。それ以後ずっと、フランチェスコに協力した女性であった。貧しい人々を慈悲深く助けるとともに、彼女の助力でベネディクト派の病院を譲り受け、ローマで初のフランチェスコ会の教会が生まれた。また、フランチェスコから贈られた子羊を育て、羊毛でフランチェスコに着衣を作り与えたなどのエピソードが残っている。フランチェスコの数々のエピソード中で私が大変気に入っており思い出す度に微笑ましい気分になる話も、このヤコポ婦人にまつわるものである。
ヤコパ・セッテソーリ
フランチェスコが亡くなる前、彼はヤコパ婦人に手紙を出す。死が近づいてきていることを告げ、遺体を包む灰色のシーツと埋葬のためのろうそくを持ってきてくれるように頼む手紙の最後には、もうひとつのかわいらしいお願いが付け加えられていた。
「ローマで病床に伏せたときに、あなたがいつも作ってくれたあのお菓子も忘れずに」
ヤコパ婦人は手紙を受け取る前に、頼まれたすべてのものを用意してすでにローマを出発していたという。フランチェスコの死後、彼の願いにより、キリストが十字架から降ろされ大地に横たえられたように、フランチェスコの遺体もしばらく土の上に横たえられた。ヤコパ婦人は土の上に横たわったフランチェスコの顔を、自身の花嫁道具のひとつであった刺繍入りのハンカチで拭いてあげた。我が子を思う母のようにそっと優しく。
フランチェスコにとって、ヤコパ婦人は母親のような存在だったのかもしれない。すべてを捨てたはずの、清貧に生きるはずのフランチェスコが、最後にお菓子を頼んだというのはなんとも愛らしい話だと思うのだ。堅苦しいことは言わない、慈愛に満ちた手をどんな病人にも貧民にも差し伸べる、人間らしさの残った聖人。だからこそ、イタリアで最も愛される聖人なのではなかろうか。
さて、ヤコパ婦人が届けたお菓子とは「モスタッチョーリ」と呼ばれるもの。このエピソードを知って以来、ずっとこのお菓子とっても気になっていた。どんな味か、食べて見たい!と思い続け、ようやく自分で作ってみた。
聖フランチェスコのお菓子モスタッチョーリ
一口に「モスタッチョーリ」と言っても、調べて見るとカラブリア、ナポリ、シチリア、アブルッツォ、サルデニアのものと、いっぱいでてくる。ん・・・、どれがフランチェスコが食べたモスタッチョーリ?
ヤコパ婦人はローマの出身だから、ローマのモスタッチョーリが妥当か・・・とか、画像を探してこんなものかと検討つけたり。

一応、フランチェスコのモスタッチョーリなるレシピがあったので、それを実践!

小麦粉    250 g
アーモンド粉 250 g
砂糖     150 g
蜂蜜     150 g
シナモン   小さじ2杯
無糖カカオ  小さじ2杯
ぬるま湯   150 ml
塩化アンモニア 6 gr
オレンジ(またはレモン)の皮 1個分
塩      少々

※蜂蜜は200gでもいいかも。塩化アンモニアは、膨らまし粉の役目をするらしい。じゃ、ベーキングパウダーで代用も可?と思うのだが、これでは思うように膨らまないらしい。が、私はとりあえずベーキングパウダーを使用した。ぬるま湯の代わりに卵白2個分というレシピもある。ぬるま湯は様子を見ながら入れるとよい。150ml多すぎるかも?
全部、混ぜる!15分置いてから、伸ばして菱の型(約7cmらしい)に抜き、150度のオーブンで約10分。
私は勢いよく、ぬるま湯150mlばーんと全部入れてしまったので、やわらかすぎて型抜きに四苦八苦した。粉を加えて加えて・・・しずぎたかな。なので、最初からぬるま湯は少なめに・・・。
もう途中で破棄したい気分になったのだが、出来た!

旦那の感想 「フランチェスコも馬鹿じゃない」
シナモンの味がして、これがイケる味なのですよ!まぁ、パンフォルテのような、イタリアの昔からのパンのような保存食っぽい味ではあるのだが、これは赤ワインに合わせてもよいかもしれぬ。
材料無駄にするかと思ったけど、子供たちもパクパク食べてくれて、作り甲斐があってよかった・・・。
フランチェスコが愛したお菓子、皆さんもよろしければ試してみてくださいませ。

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