2025年5月のオルヴィエート訪問

チヴィタ・ディ・バーニョレージョを訪問した後は、オルヴィエートへ。オルヴィエートの大聖堂は、太陽の光に煌めく色鮮やかなファサードを持つ。町で最も重要な教会をドゥオモ=神の家と呼ぶが、まさに天上の家に相応しい神々しさだ。

有料の大聖堂だが、ぜひ見学していただきたい。最近、大聖堂に戻ってきたフランチェスコ・モキのバロックな受胎告知は、迫力があって非常に面白い。「ほら!神が!」と指さしてる昭和のスポーツ漫画のように熱いガブリエルと、「え?なにこの人?アタオカ?」とめちゃくちゃ怪訝な表情のマリアの対比が良い。

もう一つの必見の傑作は、ルカ・シニョレッリのフレスコ画だ。フィレンツェのウフィツィ美術館で観るルカ・シニョレッリは、通路っぽい部屋に顔色悪いの?というような作品だからか長居せずにささっと通ってしまうが、ここに来て彼の凄さが実感できる。ルネッサーンス!とワイン片手に叫びたくなるほど圧倒的に素晴らしい作品である。

街の散策で通る道だが、この角度から見えるドゥオモが格好いい。偶然なのか、必然なのか?巡礼の道だろうか?

オルヴィエートも路地が素敵である。懐かしい感じのする素朴さが良い。

心理学者のフロイトは3度、オルヴィエートを訪ねている。オルヴィエート滞在で大聖堂のルカ・シニョレッリを観て、後日、素晴らしい作品と記憶に残ったもののシニョレッリという名前がなかなか出てこない。なぜならその前に話した他のこととごっちゃになっているから(それに抑圧されているから)というような自身の経験から「シニョレッリ事例」なるものを書いているそうだ。

オルヴィエートのもう一つの見所は、聖パトリッツォの井戸である。あれ?公衆トイレ?みたいに見えるのが、それである。外観はパッとしないが、中は優れものなのだ。

ロバも降りれるように低い段を、一段ずつゆっくりと滑らずに深淵に向かって下がる。ここは二重螺旋構造で下降専用の階段と上昇専用の階段があるので、人が行き交うことがない。

ドーナツ状の井戸の壁面に開いている窓から下を除くと、こんな感じ。これが16世紀の建築物である。大聖堂や鐘楼だけでなく、こんなところにも光るイタリアの建築技術に驚かされる。
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