ストリングスシティとストラスヴァリウス

フィレンツェで音楽の祭典。

フィレンツェで音楽の祭典

先日、フィレンツェでストリングシティと呼ばれる音楽のイベントが開催された。フィレンツェの町中の40箇所で30時間にわたって弦楽奏が奏でられるというイベントだ。ということで、朝の10時からバッハのチェロソナタを聴きに行った。

18世紀天井装飾

18世紀にバッハが作曲したチェロソナタは、チェロだけのために作られた初めての曲だそうだ。この日の演奏会場も18世紀の装飾、18世紀に作られたチェロと、なかなか粋な組合せでそれはそれは素晴しい演奏であった。音楽だけでも素晴しいが、こうして関連した話を聞くのも面白い。
しかしあちらこちらでコンサートが行われたので、一つの会場であまり余韻に浸っていられない。30分の演奏が終わると、次の目的地へダッシュ!
次の会場は、ピッティ宮殿の白の間。煌びやか~

ピッティ宮殿白の間

18世紀の装飾が見事な部屋で行われたのは、今回のイベントの目玉『ストラディヴァリウス』の演奏。遅刻するかと焦ったが、開演時間になっても始まらない。記者たちがパチパチ!とヴァイオリンと演奏家の写真を撮り続けている。

市長

そうこうしているうちに、フィレンツェ市長ナルデッラ氏の到着!遅滞の理由は、彼だったのね。ナルデッラ市長はご自身でもヴァイオリンを奏でる音楽家である。だからこそ、この素晴らしいイベントがフィレンツェにもやってきたのであろう。スポーツマン(であった)前市長レンツィ氏のときは、世界自転車選手権を誘致したり、フィレンツェマラソンをイタリア第2の人気のマラソンまで盛り上げたりした。市長の好みが市政にこんな形で反映するのは、面白い。

マッジョ

演奏者は、マッジョ・フィオレンティーノの第一ヴァイオリン奏者。3曲だけの演奏だったが、曲が終わる度に本当に嬉しそうな顔をされていたのが印象的であった。
今回フィレンツェで演奏されたストラディヴァリウスは、ヴェスヴィオ1727。普段はクレモナのヴァイオリン博物館に所蔵されており、滅多に持ちだされないものだそう。
ストラディヴァリウスは、イタリアはクレモナ出身の弦楽器製作者ストラディヴァリによって17世紀末から18世紀前半に作られた楽器である。ストラディヴァリは一生のうちに約1,100挺の弦楽器を製作したであろうと言われているが、現在残っているのは50挺だけなのだとか。

アカデミア美術館

ちなみに、フィレンツェのアカデミア美術館付属の楽器博物館にもストラディヴァリがメディチ家のために作ったヴィオラが所蔵されている。
トレンティーノ・アルト・アディジェ州のフィエンマ谷に『奏でる森』と名付けられたドイツマツの森がある。ストラディヴァリは、満月の夜に、『奏でる森』を歩いてはそこに生えるマツの幹を金づちでトントンと叩き、ヴァイオリンに適した木を探したという伝説がある。美しい音色がますますロマンチックな響きに感じるわ~残念ながらこの素敵な催しは1日のみの開催だったが、フィレンツェでは普段とはちょっと違う環境で音楽を楽しめる機会がある。12月初旬から中旬にかけてフィレンツェにお越しの方は、Strings City をチェックしてみてください。

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