フィレンツェのサルヴァトーレ・フェラガモ博物館
![フェラガモ博物館](https://www.easyfirenze.com/wp-content/uploads/2021/10/13-10-2021-1-min.jpg)
婦人靴で知られる世界的ブランド「サルヴァトーレ・フェラガモ」はフィレンツェに本店がある。そこに、フェラガモの歴史を伝える博物館を併設している。
![フルヴィア・フェラガモ](https://www.easyfirenze.com/wp-content/uploads/2021/10/13-10-2021-2-min.jpg)
現在、博物館で開催中の特別展は、シルクのシニョーラの異名を持つサルヴァトーレの娘で故人フルヴィア・ヴィスコンティ・フェラガモが手がけたスカーフやネクタイのシルク展だ。(2022年4月18日まで)
ブランド製品に疎い私はフェラガモとスカーフは全くイメージが結びつかなっかったが、今回、このシルク展を訪れてその美しさに惚れた。しかもフィレンツェ人の彼女がデザインするスカーフには、フィレンツェの文化が詰まっているというのも気に入った。
![シノワズリー](https://www.easyfirenze.com/wp-content/uploads/2021/10/13-10-2021-3-min.jpg)
シルク展のスカーフ展示は、シノワズリーのモチーフから始まる。
フルヴィアはフィレンツェのポッジョ・インペリアーレと呼ばれる建築物を拠点とした女子寄宿舎学校で学んだ。ポッジョ・インペリアーレといえば、メディチ家別荘としてユネスコ世界遺産に登録されている。その素晴らしい建物の中で宿舎に充てがわれたのは、17世紀欧州で人気があったシノワズリー趣味の壁紙や額で装飾された「中国の地区」と呼ばれる一角である。そこから影響を受けたデザインだそうだ。
![フェラガモ美術館](https://www.easyfirenze.com/wp-content/uploads/2021/10/13-10-2021-5-min.jpg)
フェラガモのお店の地下にある博物館は、思ったより大きい。このように美しいシルクのスカーフが、モチーフの元となった資料とともに展示されている。
![植物誌](https://www.easyfirenze.com/wp-content/uploads/2021/10/13-10-2021-7-min.jpg)
デザインの参考となったバシリウス・ベスラーの『アイヒシュテット庭園植物誌』。私はイギリスで植物画と出会って以来、この種の絵が大好きなのでスカーフの他に参考資料も楽しめた。
![ポピーのスカーフ](https://www.easyfirenze.com/wp-content/uploads/2021/10/13-10-2021-8-min.jpg)
そして図鑑の中のポピーがフルヴィアの手にかかると、シルクに見事な大輪の花が咲く。赤に緑、白とイタリアンカラーの美しいこと!
![ビンビ・花輪とツバメ](https://www.easyfirenze.com/wp-content/uploads/2021/10/13-10-2021-9-min.jpg)
フィレンツェと花、それはとても関係が深い。メディチ家別荘ポッジョ・ア・カイアーノ所蔵のバルトロメオ・ビンビによる数多くの静物画がその証拠だ。ビンビが仕えたメディチ家のコジモ3世は、世界中の珍しい動植物の熱心な収集家だった。
![ビンビの向日葵](https://www.easyfirenze.com/wp-content/uploads/2021/10/13-10-2021-15-min.jpg)
今となっては向日葵はトスカーナの夏の風物詩の一つだが、ビンビによる八重咲き向日葵は一般的に見かけない。しかし、今もフィレンツェのボボリ庭園では育てられているそうだ。
![植物図鑑のひまわり](https://www.easyfirenze.com/wp-content/uploads/2021/10/13-10-2021-16-min.jpg)
植物図鑑の向日葵の絵にも八重咲きの向日葵。八重咲き向日葵はわりと珍しいと思うのだが、ビンビも図鑑も、そしてゴッホも八重咲きを描いている。
![スカーフ向日葵](https://www.easyfirenze.com/wp-content/uploads/2021/10/13-10-2021-17-min.jpg)
ビンビの絵画と植物図鑑から生まれたスカーフの中の向日葵は鮮やかでいて、シックに。
![花シリーズのスカーフ](https://www.easyfirenze.com/wp-content/uploads/2021/10/13-10-2021-18-min.jpg)
どの柄も本当に素敵で、額として飾っても美しい芸術作品のようだ。スカーフなので、見た目と実際に巻いた感じはまた異なるのだろうなと、色々想像しながら見ているだけでも楽しい。
![侍スカーフ](https://www.easyfirenze.com/wp-content/uploads/2021/10/13-10-2021-13-min.jpg)
なんと、サムライシリーズもある!え?なんで?と思うのだが、侍とフィレンツェの関係は・・・。
![鎧兜](https://www.easyfirenze.com/wp-content/uploads/2021/10/13-10-2021-12-min.jpg)
フィレンツェのスティッベルト美術館にある。この美術館は、主に桃山時代から江戸時代にかけての日本の武具のコレクションが充実していて、95着の甲冑一式、鍔や兜など戦の関連品が展示されている。
![侍ネクタイ](https://www.easyfirenze.com/wp-content/uploads/2021/10/13-10-2021-14-min.jpg)
そんなわけでサムライシリーズもあるわけだが、シルク製ネクタイもサムライ。侍のお隣はインド象に乗るマハラジャ。
サムライネクタイは締めてると仕事にやる気が出る気がするが、スカーフは売れたのだろうか?勝負スカーフ?ちょっと気になる。
![鳥類剥製](https://www.easyfirenze.com/wp-content/uploads/2021/10/13-10-2021-10-min.jpg)
鳥類をモチーフとしたスカーフでフルヴィアが参考にしたのは実物の鳥と鳥類のイラストが詳しく描かれた図鑑や雑誌であるが、フィレンツェにはスペコラ博物館という自然史博物館があり多くの生き物の標本が展示されているのも忘れてはならない。ちなみに、スペコラ博物館にコジモ3世が飼っていたカバもいる。
![鳥類シリーズ](https://www.easyfirenze.com/wp-content/uploads/2021/10/13-10-2021-11-min.jpg)
鳥シリーズは渋さがあるというか、これもまた素敵である。
![動物シリーズ](https://www.easyfirenze.com/wp-content/uploads/2021/10/13-10-2021-6-min.jpg)
動物シリーズが本当に良かった。色がいいというのもあるが、猛々しい動物の体が花びらで埋まっているのも可愛い。じっと見ていると、フルヴィアが描く動物の仕草や表情に優しさがこもっており、彼女の愛が伝わってきた。
フルヴィアのスカーフは、大胆な構図とカラフルな色合いが生む力強さの中に優しさとか愛くるしさを感じるバランスの良さ、そこが魅力的だなと思えた。
9つの展示室の一つがプロジェクトマッピングの部屋だった。最近、ワイナリーでも美術館でもしばしばこのシステムを見るが、手間の割りにはそれほどいいと思ったことがない。しかし、今回のはとても素敵だった。私がスカーフのモチーフがどれも好きだからそれらが動くのが楽しかったからかもしれないが。
フェラガモのHPでバーチャルツアーが出来るのでご興味のある方は是非のぞいてみて下さい。
https://www.ferragamo.com/museo/it
フェラガモ博物館の展示は毎年テーマが変わるそうなので、次が楽しみである。フィレンツェにお越しの際は是非訪れてみて下さいね。イタリアのデザインの粋と職人が作る高品質の良さを堪能できます。
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