ヴェッロッキオ展@フィレンツェ

ヴェッロッキオ展へ。

ストロッツィ宮

今年はレオナルド・ダ・ヴィンチ没後500周年ということで、イタリアでレオナルド関連のイベントが多数開催されている。フィレンツェでは、レスター手稿の展覧会に続き、レオナルドの師匠アンドレア・デル・ヴェッロッキオの展覧会。ヴェッロッキオを中心とした展覧会は、今回が初めて。ヴェッロッキオが活躍した1400年代後半はルネサンス盛期にあたり、ロレンツォ・デ・メディチ(偉大なるロレンツォ)が支配したフィレンツェの黄金時代。当時、もっとも名声があり繁盛していた芸術工房を構えていたのがヴェッロッキオであり、ヴェッロッキオを通して当時の芸術家たちがどれほど影響し合っていたかがわかる展示会でもある。あのレオナルド・ダ・ヴィンチも然り。これはフィレンツェならではの展覧会であろう。

彫刻

ヴェッロッキオの作品が他の芸術家の作品と交差しながらテーマごとに時系列に並ぶ。ヴェロッキオは、彫刻、貴金属細工、ブロンズ、テラコッタ、絵画なんでもこなした。特に彫刻が素晴らしい。

花束を持つ少女

「花束を抱く少女」

ロレンツォ・デ・メディチの愛人ルクレツィア・ドナーティがモデルと言われている。下着のブラウスのボタン周辺とか、とにかく衣装の柔らかさや手の繊細さ、石に見えない。同じ部屋に展示されているヴェッロッキオの師匠デジデリオ・ダ・セッティニャーノの彫刻も非常に繊細だが、ヴェッロッキオの少女は表情がさらに生き生きして、これぞ、ルネサンス!そして、レオナルド・ダ・ヴィンチの「ジネーブラ・デ・ベンチの肖像」に受け継がれる。

レオナルド手の描写

レオナルド・ダ・ヴィンチの手の素描。

リッピ

1400年前半の画家、フィリッポ・リッピの「聖母子と天使」の素描(1465年)。この構図は多くの画家たちが真似をした。フィリッポ・リッピはこのほかにも新構図を生み出しているが、絵が上手いだけでなく絵画界のインフルエンサーなのである。

ボッティチェッリ

フィリッポ・リッピの弟子、ボッティチェッリ(1468年)。早速、真似てます。

ヴェロッキオ

ヴェロッキオも影響を受ける(1470・75年)。ベルリン美術館所蔵。背景は置いといて、聖母のお顔がすごく美しい。頭にかけたベールの美しさも。リッピの聖母に似た、でももう少し可愛らしい感じ。レオナルドの優しい母性にも通じる。キリストの髪の毛が赤色なのね。

ヴェロッキオ聖母

さらにヴェッロッキオの聖母2点。右側の枠上に立つキリストは気に入った構図らしく、ほかの素材でもこの構図を使い、弟子たちも真似をしている。先にリッピが描いている。リッピのものはメディチ・リッカルディ宮。

絵の拡大

貴金属細工師でもあったから、宝飾品が綺麗である。ウフィッツィ美術館所蔵「キリストの洗礼」でレオナルドが描いた天使を見てあまりの素晴らしさにヴェッロッキオは絵を断念した、という真相はわからぬが、ヴェッロッキオの絵もとても素敵だ。

大天使ラファエルとトビア

これ、見たかった絵。旅をするトビアと彼を見守る大天使ラファエッロ。商用で息子を旅にだすことが多かった15世紀のフィレンツェで人気のあったテーマ。ヴェッロッキオと工房の絵で、魚と犬がレオナルドなんて言われているけど、どうだろう?魚の鱗とか、犬ちゃんの可愛らしさを見ると、個人的には若きレオナルドであり得る気もするが・・・。

イルカを抱く少年

「イルカを抱く天使」
ヴェッロッキオの作品で、最も好き!大好き!この可愛さ!萌える。この度、修復を終えさらに綺麗になった。メディチ家別荘カレッジに噴水の一部として飾られていた。水に濡れた髪が張り付いた感じとか、片足の躍動感とか、たまらんわ。

後ろ姿

わー!後ろ姿!翼がね、いいんすよ。これ、本当にブロンズ?と疑っちゃう。この翼は、ヴェロの師匠ドナテッロのアモーレ・アッティス(バルジェッロ美術館所蔵)に似ている。

テラコッタの天使。ここでも翼が素敵!ヴェッロッキオはどうやら翼が得意みたい。

受胎告知

この「受胎告知」、レオナルドの真似?製作は、レオは1472年頃、こちらは1475年頃。作者はドメニコ・ギルランダイオと言われていたが、現在はロレンツォ・ディ・クレディ。いずれもヴェッロッキオの工房出身だ。レオナルド・ダ・ヴィンチか?との意見はあるが、ロレンツォでしょう。
この「受胎告知」は、絵の大きさも関係するかもしれないが、ウフィッツィ美術館所蔵のレオナルドのものに比べ生き生きした感じが薄い。ジョルジョ・ヴァザーリが著した「芸術家列伝」の第3部はレオナルドから始まるが、レオナルドはこれまでの芸術家が極めた技量に加え作品に動きと息吹を与えたと讃えた。まさに、そこが違うのであろう。

テラコッタ聖母子

イギリスのヴィットリア&アルバートミュージアム所蔵で、イギリスではアントニオ・ロッセリーノ作と展示されているが、ここではレオナルド・ダ・ヴィンチ作になっている。展示会のキュレーターはレオナルド押しで、今回の展示会ではレオナルド作としている。聖母の衣装がレオナルドの受胎告知の聖母の
ものだと指摘もある。キリストの顔がヴェッロッキオの「イルカを抱く天使」の天使に似ていて、聖母の顔はアントニオ・ロッセリーノじゃないかと思うが、当時の芸術家は刺激しあっているので似通っている部分が多いにあるため、意見の分かれるところである。

展示の最後に、お土産ショップ。展示会関係のものもあるが、それ以外に衝撃的だったのが、こちらのランチョンマット。

ランチョンマットラファエッロ天使

あの愛くるしいラファエッロの天使が!グレてる・・・。

ランチョンマットレオナルド

レオナルドに、ダンテ。朝から気持ちがざわつく。でも、気になる・・・!このイラストでマグカップもあって、ちょっと!気になりすぎ!

「ヴェッロッキオ・レオナルドの師匠」展
7月14日まで、於:ストロッツィ宮
10時から20時、木曜日は10時から23時
入場料:13ユーロ、65歳以上26歳未満10ユーロ
バルジェッロ美術館チケット保有者9ユーロ
6歳以下無料
※フィレンツェカード保有者無料

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