薔薇園の午後

フィレンツェの薔薇園の午後。

前に訪れたのはいつのことだったろうか。子供たちがまだ小さく、下の息子がようやく歩けるぐらいのころだった気がする。オリーブの木の下で、丸々と太った顔をほころばす二人の写真が残っている。

薔薇園

久しぶりの薔薇園は、鳥の声が響き渡るここが町中とは思えぬ長閑さで、フィレンツェの町を違った目で堪能することができる。

フィレンツェがイタリア王国の首都となった1865年、市は建築家ジュゼッペ・ポッジに命じてフィレンツェを首都にふさわしい町へ生まれ変わらす都市計画を建てた。その際に出来たのがミケランジェロ広場。そして、建築家ポッジの要望で広場の下1ヘクタールほどの土地に薔薇園が作られた。薔薇園は1895年に一般公開となり、今年で118年を迎える歴史ある庭園なのだ。

フィレンツェの薔薇園

庭園内に植えられている植物は約千種を数え、古いもので16世紀の品種も含めて約370種の薔薇が育つ。潅水は、なんとミケランジェロ広場の道路を挟んで展望テラスとは反対側にある柱廊の裏手に給水タンクが備えられており、そこから繋がるポンプで潅水をしているそうだ。
1998年には、日本庭園も造られた。これはフィレンツェと姉妹都市である京都の高台寺から寄付されたそうだ。

薔薇と黒猫

散策中、絶えず芳しい香りが漂う中、黒猫に出会った。薔薇と猫!なんと素敵な組み合わせ!蒼緑の眼が美しい黒猫の機嫌を取りながら、写真撮影。「こっちむいて」とプスプスプスと言い続けるも(イタリアでは猫を呼ぶとき、こう言う。我が家だけ?)、なかなかタイミングが難しい。

オリーブの下の少女

緑の中に、妖精のような女の子発見!隣に咲くピンクの薔薇から生まれたような彼女があまりにも絵になるので、今度は気付かれないようにそっと一枚。

ドゥオモ

どこをとっても花の大聖堂が・・・。まるでここでもフィレンツェの主役は私よと言わんばかりである。
しかし、クレーン車が大変邪魔である。今年の9月に世界サイクリング大会が開かれるフィレンツェ。そのための道路工事か、最近、頻繁である。

レモンの花

檸檬の花も咲いていた。もっと檸檬の実が生っていると思ったが、そうか。柑橘系は冬か?紫色の小花も、小さいながらに印象的な色で美しさを競う。
昨年から(だったと記憶する)、薔薇園に新しいお客様が現れた。それは、ジャン・ミシェル・フォロンの12の彫刻。2005年にフェロン氏は亡くなられたが、氏の未亡人によってフィレンツェに12の彫刻が寄付された。

フェロン彫刻色々

フィレンツェとフォロンといえば、フィレンツェ南から高速へ入るラウンドアバウト(ロータリー交差点)に傘を差した銅像が置かれているが、その作者である。傘の部分が噴水になっているという、とても微笑ましいものだ。
私はこのフォロンが大好きで、薔薇園に飾られるというニュースも嬉しく聞いた。いつか見に行きたいと思っていた。

フェロン

「生きる」や「夢」など、ひとつひとつの彫刻にフランス語で題名が付いているのだが、記録しておかなかったので忘れてしまったが、なるほど、と思うものもあれば、むむむ?と考えるものもありで、題名を見ながら彫刻を眺めるのも面白いものである。

フェロン読書

ここではやっぱり彼と一緒にベンチで記念撮影でしょう!

温室

この体の形がなんとも愛くるしくって、良い。フェロン氏は絵も描かれるが、それもまた心暖まる作風である。

旅行鞄

題名は「出航」。フィレンツェの思い出を鞄に詰め込んで旅立とう。

フィレンツェの景色

ミケランジェロ広場に負けず劣らずの景観が楽しめる薔薇園。パニーノを片手にピクニックというのも、一興である。あ、それと・・・。フィレンツェでは、この薔薇園でも結婚式を挙げることができるようになった。薔薇が満開の時期は、さぞ素敵であろう。
入り口は、ミケランジェロ広場から、その下にあるバール(レストラン??)のあるテラスへ向かう階段を下りて、右折。左側にあります。
入場無料。午前9時から夕暮れまで、一年中開館。

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