死にゆく町

死にゆく町チヴィタバーニョレージョへ。

死にゆく町チヴィタバーニョレージョ ラッツィオ州にある村チヴィタ・ディ・バーニョレージョは、「天空の町」として今では広く知られるところだ。すでに訪れた方たちも多かろう。 「天空の町」という取ってつけたような呼称は何だかなぁ・・・とひねくれた私はいつも思っていたものだ。しかし、この村へやってくると天空に浮かんだような村を「天空の町」以外にどう呼ぶべきか?と思わずにはいられない。 チヴィタ昔 村の地盤である凝灰岩は地震と雨風の影響で徐々に風化しているという。今では、隣町のバーニョレージョとチヴィタ・ディ・バーニョレージョの村は1965年に建設された300mの橋で行き来するが、以前は山道でつながっていた。(写真は1874年のもの) いつの日か、この山道のように地盤風化によって村自体もこの世から消えてしまう運命にある。それ故、チヴィタ・ディ・バーニョレージョ出身の作家がこの村を「死にゆく町」と詠った。 橋を渡り、村へ入ってみよう。 門 以前は村には5つの門が存在していたが、今は橋とつながるサンタ・マリア門を残すのみ。絡まる蔦がいい感じだ。秋の紅葉した風景も見事である。 時間が止まったような建物に、季節ごとに異なる表情を見せる植物との対象が詩的である。 トスカーナの田舎町はたくさん巡った。トスカーナの田舎町の美しさ、田舎でありながらエレガントでもある様はほかに追随を許さないものだと思っていた。トスカーナ至上主義の私だが、この村の「死にゆく町」という理由だけではない唯一無二の魅力に参ってしまった。 チヴィタバーニョレージョ町 住民は8名というが、本当にそうなの?と疑いたくなるほど村中が花に溢れ、綺麗に手入れされている。(驚くほどの数の小型ゴミ箱が設置されている!これも美化の一環か。写真には少し邪魔にならないでもないが・・・) とても小さな村なのに特徴的でいかにもおいしそうなレストランがいくつかある。どれもこれも、試したくなる。 猫と恋人 猫も恋人たちも、絵になるのだ。 チヴィタバーニョレージョカランキ 村の反対側では、月世界のような地形が見られる。オルチャ渓谷あたりから、イタリア語で「カランキ、日本語(英語?)でバッドランド」と呼ばれる、この手の地形は少しずつ見られるが、ここに来て圧巻の景色である。 風景 村から見た橋の風景。橋を歩いていると、5月の今、見事に咲き乱れているエニシダの甘い香りが漂ってくる。 違う場所からもう一枚。 この村は、一度は訪れたい町のひとつではなかろうか。

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